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最高裁判所第二小法廷 昭和36年(オ)622号 判決 1961年11月10日

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人段林作太郎の上告理由一ないし三について。

上告人が昭和三五年三月二日の原審第一回口頭弁論期日において書類の取寄並びに証人二名の尋問の申出をし、原審がこれを採用したところ、上告人は昭和三六年一月一七日の第四回口頭弁論期日に至るも正当の事由なくして右証拠申出書を提出しなかつたので、原審は同日右採用を取り消し、弁論を終結した上判決を言渡したことは、記録上明らかである。かように上告人の証拠申出が不適式であつて、上告人の右かい怠により約一〇ケ月間証拠調の施行を不能ならしめた場合は、たとえ唯一の証拠方法であつてもこれを取り調べることを要しない、と判示した原判決は正当である(昭和二三年(オ)第六五号同二八年四月三〇日第一小法廷判決参照)。論旨は憲法違反をいう点もあるが、その実質は単なる法令違背の主張にすぎず、しかも独自の見解にもとづいて原判決を非難するものであつて、所論は採用できない。

よつて民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 池田克 裁判官 河村大助 裁判官 奥野健一 裁判官 山田作之助)

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